「ポストに緑色の封筒が…。今年も国勢調査の時期か。忙しいし、なんだか面倒だな」
毎年この時期になると、そう感じている方も少なくないのではないでしょうか。たしかに、日々の忙しさの中で調査票に記入するのは少し手間に感じるかもしれません。
しかし、もし「自分一人が答えなくても大丈夫だろう」と考えているとしたら、それは非常にもったいないことです。
ここでは、たった10分で終わる簡単な回答方法から、あなたの回答が地域の未来をどう創るのか、そして万が一提出しなかった場合に起こりうることまで、その全てが分かります。
そもそも国勢調査って何?なぜ答える必要があるの?
まずは基本の「キ」からおさらいしましょう。国勢調査とは、一言でいえば「5年に一度行われる、日本の”健康診断”」のようなものです。日本に住むすべての人と世帯を対象として、人口や家族構成、働き方、住まいの状況などを把握するための、国が実施する最も重要で大規模な統計調査です。
あなたの回答が未来の街づくりに直結する
「調査に答えたところで、何かが変わるの?」 これは、元調査員がよく受ける質問の一つです。
答えは、「はい、大きく変わります」です。
国勢調査の結果は、国や市区町村が公正で適切な行政運営を行うための、非常に重要な基礎データとなります。
【具体例】保育園の増設、防災計画、お店の出店計画にも
例えば、以下のような、私たちの暮らしに身近なことに役立てられています。
つまり、あなたの回答は、単なる数字の一つではなく、未来の街の姿を形作るための大切な一票なのです。
【2025年国勢調査】いつまで?どうやって答えるの?
次に、今年(2025年)の調査の具体的な進め方について確認しましょう。
調査期間と回答期限を再確認!
2025年の国勢調査は、10月1日を調査期日として実施されます。調査書類は9月下旬から調査員によって各世帯に配布されており、回答期限は10月8日に設定されています。まだ手元に封筒がある方は、今すぐ期限を確認してみてください。
おすすめは断然「オンライン回答」!メリットと手順を解説
「忙しくて調査票を書く時間がない!」という方にこそ、ぜひ活用してほしいのがインターネット(オンライン)回答です。
- 24時間いつでも回答可能!
- スマホやPCから約10分で完了!
- 調査員との対面でのやり取りが不要!
【オンライン回答の簡単3ステップ】
- 配布された封筒に入っている「インターネット回答利用ガイド」に記載のQRコードをスマホで読み取る。
- 画面の案内に従って、ログインIDとアクセスキーを入力(QRコード経由なら自動入力される場合も)。
- 質問に沿って回答を入力し、最後に送信ボタンを押せば完了!
調査票(紙)での回答方法
もちろん、従来通り紙の調査票で回答することも可能です。その場合は、記入後に同封の郵送用封筒に入れてポストに投函するか、担当の調査員に直接渡してください。
国勢調査を提出しないとどうなる?
ここからが本題です。「もし国勢調査に答えなかったら、どうなるの?」という疑問にお答えします。
法律上の罰則は?統計法で定められた「報告義務」
まず知っておいていただきたいのは、国勢調査への回答は「お願い」ではなく、法律(統計法)で定められた国民の「報告義務」であるという点です。
統計法 第十三条 (報告の求め) 行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のため必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。 2 前項の規定により報告を求められた者は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。
そして、この報告義務に違反した場合の罰則も定められています。
統計法 第六十一条 基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
「本当に罰金になるの?」と疑問に思うかもしれません。実際に即座に罰金が科されるケースは稀ですが、法律で明確に定められている以上、回答しないことには法的なリスクが伴うことは事実です。
罰則よりも怖い「精度の低い統計」がもたらす未来
しかし、私が元調査員として本当に伝えたいのは、罰則の有無よりももっと深刻なリスクです。それは、「不正確なデータに基づいた、的外れな行政サービス」が生まれてしまうことです。
もし多くの人が回答しなければ、出来上がる統計は実態とかけ離れたものになります。
- 本当は子育て世帯が多いのに、それが反映されず保育園が作られない。
- 高齢化が進んでいる地域なのに、福祉サービスが全く追いつかない。
- 災害時に支援が必要な人がいるのに、その存在が把握できず孤立してしまう。
自分一人の未回答が、巡り巡って自分や家族、そして地域全体の不利益に繋がってしまう可能性があるのです。また、虚偽の記載などを行えば無駄に税金を支出する事にもつながりかねません。
実際にあった?調査員が何度も訪問することも…
調査員には、担当地区の世帯から調査票を回収する責任があります。そのため、期限までに回答が確認できないお宅には、何度か訪問する事になります。
実際に元調査員に話を聞くと、
「日中はお留守のお宅に、曜日や時間を変えて何度も足を運びました。忙しいから、面倒だから、という気持ちも痛いほど分かるのですが、この調査票一枚が、この街の未来に繋がるんですとお伝えすると、多くの方が最終的には協力してくださいました。」
と話しをされていました。
回答を先延ばしにすると、かえって調査員の訪問を何度か受けるという手間が増えてしまう可能性もある、ということは知っておいた方が良いかもしれません。
個人情報は守られる?セキュリティは大丈夫?
調査員を含む全ての調査関係者には、統計法によって厳しい守秘義務が課せられています。調査で知り得た情報を外部に漏らすことは固く禁じられており、違反した場合は厳しい罰則があります。また、集められた調査票は統計作成の目的以外(税金の徴収や警察の捜査など)に利用されることは絶対にありません。集計後は専門業者によって溶解処理され、個人情報が残ることはありませんのでご安心ください。
一人暮らしや学生も回答は必要?
必要です。 国勢調査は、日本に住むすべての方が対象です。一人暮らしの学生さんや、単身赴任中の方、外国籍の方も対象となります。あなたの回答が、若者向けの政策や、多様な人々が住みやすい街づくりに繋がります。今は一人暮らしで、たぶん実家が対応しているから、、、というものでもありません。
回答内容を間違えてしまった場合は?
修正が可能です。 オンライン回答の場合、回答期間中であれば再度ログインして修正することができます。紙の調査票で提出してしまった場合は、お住まいの市区町村の統計担当部署にご連絡ください。
あなたの10分が、未来の暮らしを豊かにする
この記事のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 国勢調査は、**未来の街づくりに不可欠な「国の健康診断」**である。
- 回答は法律で定められた国民の義務であり、罰則規定も存在する。
- 回答しないことの最大のリスクは、行政サービスが実態とズレてしまうこと。
- スマホやPCから約10分で完了するオンライン回答が便利でオススメ。
ポストの中の緑色の封筒は、決して面倒なだけの紙切れではありません。それは、より良い社会を未来の世代に手渡すための、私たち一人ひとりに与えられた大切な役割の証です。
さあ、緑色の封筒を開けて、オンラインでサクッと回答を済ませてしまいましょう!あなたのそのわずか10分が、5年後の日本の、そしてあなたの街の未来を、より豊かで安心なものに変える力になります。