寒い季節、食卓に並ぶとホッとする「けんちん汁」。 具沢山で体が芯から温まる、日本の冬の定番料理ですが、ふと「けんちん」ってどういう意味?と思ったことはありませんか?
今回は、意外と知らない「けんちん汁」の名前の由来と、その美味しさの決め手となる「狭山市の里芋」について詳しくご紹介します。
1. けんちん汁の「けんちん」とは?有力な2つの説
「けんちん」という言葉の響き、少し変わっていますよね。これには主に2つの有力な説があると言われています。
① 建長寺(けんちょうじ)説
最も広く知られているのが、鎌倉にある「建長寺(けんちょうじ)」が発祥という説です。 その昔、建長寺の修行僧が作っていた「建長寺汁(けんちょうじじる)」が、時を経て訛り、「けんちん汁」と呼ばれるようになったと言われています。
元々は精進料理であるため、お肉や魚を使わず、出汁も昆布や椎茸から取ります。崩れてしまった豆腐を無駄にせず、野菜と一緒に炒めて汁にしたのが始まりというエピソードも残っています。
② 巻繊(けんちぇん)説
もう一つは、中国から伝わった普茶(ふちゃ)料理の一つ「巻繊(けんちぇん)」に由来するという説です。 巻繊とは、細かく切った野菜や豆腐を炒め、湯葉などで巻いて揚げたり煮たりした料理のこと。この具材を汁物にしたものが「巻繊汁(けんちんじる)」になったという考え方です。
どちらの説にしても、「野菜や豆腐を油で炒めてから煮込む」という調理法が、けんちん汁の最大の特徴であり、コク深い味わいの秘密です。
2. けんちん汁の主役!実は狭山市は「里芋」の名産地
けんちん汁に欠かせない具材といえば、大根、人参、ごぼう、そして独特のねっとり感がたまらない「里芋」ですよね。
実は、私たちがお住まいの狭山市を含む埼玉県は、全国でもトップクラスの里芋の産地であることをご存知でしたか?(※埼玉県は出荷量全国1位・2位を争う常連県です)
なぜ狭山の里芋はおいしいの?
狭山市周辺の土壌は、古くから「関東ローム層」と呼ばれる火山灰土に覆われています。この土は水はけが良い一方で、適度な保湿性も兼ね備えており、里芋の栽培に非常に適しているのです。
狭山市内で収穫される里芋は、きめ細やかな肉質と、ねっとりとした濃厚な食感が特徴。「煮崩れしにくく味がよく染みる」と評判で、贈答用としても人気があります。
3. 今夜は「狭山産」で地産地消けんちん汁を
スーパーの野菜コーナーや、市内の直売所(あぐれっしゅ元気村など)で、泥付きの新鮮な里芋を見かけたら、それは美味しいけんちん汁を作るチャンスです。
豚汁と混同されがちですが、本来のけんちん汁は「醤油ベース(または塩)」で「肉を使わない」のが基本。しかし、ご家庭では豚肉を入れてボリュームを出したり、味噌仕立てにしたりと自由にアレンジするのも楽しみの一つです。
【おいしく作るポイント】
- 里芋の下処理: 狭山産の新鮮な里芋は、皮をむいて塩もみし、ぬめりを少し取ってから使うと味が染み込みやすくなります。
- 炒める: 具材をゴマ油でしっかり炒めてから煮込むことで、野菜の甘みとコクが引き出されます。
「けんちん汁」の由来は、修行僧の知恵や中国の食文化にありました。そして、その味を支えているのは、地元の豊かな土壌が育んだ野菜たちです。
寒い日は、狭山市で育った美味しい里芋をたっぷり使った「けんちん汁」で、体も心も温まってみてはいかがでしょうか?
