近年、手軽な移動手段として注目を集める電動キックボード。しかし、「どこで乗れるの？」「免許はいるの？」など、その交通ルールについて疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。2023年7月1日からは道路交通法が改正され、新たなルールが適用されています。
ここでは、電動キックボードを日本国内で安全に利用するために知っておくべき道路交通法のポイントを、分かりやすく徹底解説します。必要な手続きから走行可能な場所、さらには違反行為まで、電動キックボードユーザー必見の情報が満載です。
1. 法改正でどう変わった？「特定小型原動機付自転車」とは
2023年7月1日の道路交通法改正により、電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい区分に位置づけられました。これにより、一定の基準を満たす電動キックボードは、以下の条件で利用できるようになりました。
- 16歳以上であれば運転免許不要
- ヘルメットの着用が努力義務に（一般原動機付自転車は着用義務）
ただし、この「特定小型原動機付自転車」に該当するには、車体の構造や性能に関して以下の保安基準を満たす必要があります。
- 原動機が電動であること
- 最高速度が20km/h以下であること
- 車体の長さ190cm以下、幅60cm以下であること
- 型式認定番号標または性能等確認済シールが貼付されていること
- 前照灯、尾灯、制動灯、方向指示器、警音器、後写鏡などの保安部品が装備されていること
これらの基準を満たさない電動キックボードは、引き続き「一般原動機付自転車」または「自動車」として扱われ、それぞれに応じた運転免許やヘルメット着用義務などが課せられますので注意が必要です。
2. 電動キックボードに乗る前に！必要な手続きと準備
特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードに乗るためには、以下の手続きと準備が必要です。
(1) ナンバープレートの取得
市役所でナンバープレートの交付申請が必要です。（居住地の市町村の役所）
- 必要なもの:
- 軽自動車税申告（報告）書兼標識交付申請書（役所に備え付け）
- 車体情報が確認できる書類（販売証明書、譲渡証明書など）
- 身分証明書（運転免許証、マイナンバーカードなど）
- 印鑑（必要な場合がある）
(2) 自賠責保険への加入
万が一の事故に備え、自賠責保険（自動車損害賠償責任保険）への加入が義務付けられています。コンビニエンスストアや保険会社の窓口で加入できます。
(3) 標識とシールの貼付
交付されたナンバープレートは車体の見やすい位置に取り付け、型式認定番号標または性能等確認済シールも指定された位置に貼付します。
(4) ヘルメットの準備（努力義務）
16歳以上であればヘルメットの着用は努力義務ですが、万が一の事故に備えて着用を強く推奨します。
3. どこを走れる？走行可能な場所とNGな場所
特定小型原動機付自転車は、以下の場所を走行できます。
走行可能な場所
- 車道: 原則として車道の左側を走行します。
- 普通自転車専用通行帯: 自転車専用レーンも走行可能です。
- 自転車道: 自転車道も走行可能です。
- 路側帯: 歩行者の通行を妨げない限り、路側帯も走行可能です。
走行してはいけない場所
- 歩道: 原則として歩道の走行は禁止されています。
- 特例: ただし、「特例特定小型原動機付自転車」として歩道モード（最高速度6km/h以下、緑色の灯火点滅）で走行可能な場合があります。この場合、歩行者優先で、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなければなりません。この特例の適用には、機体が特定の要件を満たしている必要があります。
- 高速道路・自動車専用道路: 走行は禁止されています。
- 交通量の多い幹線道路の一部: 地域によっては走行が制限される場合があります。標識や表示に注意してください。
4. 知っておきたい交通ルールと注意点
安全に電動キックボードを利用するために、以下の交通ルールと注意点を守りましょう。
- 信号無視・一時不停止の禁止: 他の車両と同様に、信号や一時停止の標識は必ず守りましょう。
- 飲酒運転の禁止: 飲酒運転は非常に危険であり、厳しく罰せられます。絶対にやめましょう。
- 二人乗りの禁止: 特定小型原動機付自転車は一人乗りです。二人乗りはできません。
- 携帯電話の使用の禁止: 運転中の携帯電話の使用は危険であり、禁止されています。
- 右折時の二段階右折: 車道の第一通行帯（一番左の車線）を走行している場合、右折する際は二段階右折が必要です。
- 歩道走行時の注意: 特例として歩道を走行する場合でも、あくまで歩行者優先です。歩行者の通行を妨げないよう、細心の注意を払って走行してください。
- 夜間の走行: 夜間は前照灯と尾灯を必ず点灯させ、必要に応じて反射材を着用するなど、視認性を高めましょう。
- 急な割り込みや無理な追い越しをしない: 他の車両や歩行者に配慮し、安全運転を心がけましょう。
5. 違反行為と罰則
道路交通法に違反した場合、罰則が科せられます。主な違反行為と罰則の例は以下の通りです。
これらの他にも、様々な違反行為に対して罰則が定められています。安全運転義務を怠らないようにしましょう。
ルールを守って安全で楽しい電動キックボードライフを！
電動キックボードは、私たちの移動をより便利で楽しいものにしてくれる可能性を秘めた乗り物です。しかし、そのためには、利用者一人ひとりが交通ルールを正しく理解し、安全に配慮した運転を心がけることが不可欠です。
この記事で解説した内容を参考に、電動キックボードを適切に利用し、安全で快適な移動を実現しましょう！疑問点があれば、警察署や各自治体の窓口に問い合わせることもできます。
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